低用量ピル(OC:Oral Contraceptives)
低用量ピル(OC)とは経口避妊薬のことで避妊を目的とした錠剤です。OCは主に排卵をおさえて妊娠を防ぎます。
OCに含まれる2種類の女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が脳下垂体にはたらきかけ、卵胞を成熟させるホルモン(卵胞刺激ホルモン:FSHと黄体化ホルモン:LH)の分泌をおさえます。そのため卵胞は成熟せず、排卵がおこらなくなります。また、OCは排卵をおさえるだけでなく、子宮内膜を変化させることで受精卵の着床を防いだり、子宮頚管の粘液を変化させることで精子が子宮内に入りにくくする作用があります。OCを正しく服用すれば、ほぼ100%の避妊効果があります。
低用量ピル(OC)の効果
OCは避妊効果だけではなく、過多月経や月経痛の軽減、月経不順の改善、ニキビや肌荒れの改善、子宮内膜症の予防、卵巣がんや子宮体がんの発生リスクを低下させるなどの効果もあります。また、月経困難症(月経痛)、月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)の症状を緩和する治療薬として、ヤーズ配合錠、ルナベル配合錠といった保険適応のある低用量ピル(LEP)もあります。OCの服用で、体内のホルモンバランスを継続的に整えることができ、女性の生活の質(QOL)を向上させることが期待できます。
低用量ピル(OC)を処方してもらうには?
OC服用に関しは、いくつかの注意点があります。初めて服用される方(初診)は十分にカウンセリングさせていただきます。すでにOCを服用されいる方でも、当院で処方が初めての場合は問診票(チェックリスト)に記入していただきます。
処方には検査が必要となります
年に1回の定期検診(診察、採血)を受けていただきます。
ピル郵送について
低用量ピルの郵送が可能です。
詳しくはお電話(03-6804-8839)にてお問い合わせください。
※当院で処方を継続している患者様のみ。
※振り込みでの対応(別途郵送代¥500頂戴致します。)
振込先はこちらです。
三菱UFJ銀行 代々木上原支店
普通 0800606
口座名 ナカムラ ヒロシ
種類と費用
トリキュラー | ファボワール | アンジュ | マーベロン | ラベルフィーユ | シンフェーズ |
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2,200円(税込) | 2,200円(税込) | 2,200円(税込) | 2,200円(税込) | 2,200円(税込) | 2,200円(税込) |
21錠タイプと28錠タイプの違い
プラセボ錠(偽薬)があるか、ないかです。 プラセボ錠とは、ホルモンが含まれていない錠剤です。21錠タイプも28錠タイプも21日間ホルモン剤を服用し、7日間はホルモン剤を服用しないという意味では全く同じです。プラセボ錠は毎日服用する習慣をつけ、飲み忘れ防止のための錠剤でもあります。
低用量ピル(OC)の種類がたくさんあるのは効果が違う?
OCには一相性と三相性のタイプがあり、ホルモン量が異なります。
一相性タイプ | 28日間の服用期間中はホルモン量が変わりません。プラセボ錠(偽薬)以外はホルモン量が一定しています。 |
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三相性タイプ | ホルモン量が3段階で変わります。3段階にわけて黄体ホルモンの量が増えて行くタイプで、女性の自然なホルモンバランスにより近くなるよう変化していきます。 |
低用量ピル
Q&A
Q 飲み忘れたらどうしたらいい?
1日飲み忘れたことに気づいたら、気づいた時にすぐ1錠服用します。その日服用する分は、通常通りに同じ時間に服用します。つまり、その日は2錠服用することになります。ただし、2日以上飲み忘れた場合は、医師に報告し対処方を確認しましょう。毎日ほぼ同じ時間に服用するように心がけ、飲み忘れがないようアラームを設定するなど対処していきましょう。
Q 休薬期間中も避妊効果はある?
休薬期間中も避妊効果はあります。ただし、飲み忘れや飲み間違えがなくきちんと服用できていればです。OCを正しく飲み忘れがないよう服用してください。また、OCを服用していても稀に排卵が起こることもあります。100%避妊効果を得るために、正しいOCの服用とコンドームなどの避妊対策をしましょう。
Q 低用量ピル(OC)を飲み始めたらどのくらいで避妊効果が出る?
OC服用開始すぐには避妊効果はありません。毎日正しくOCを服用することで排卵がおさえられ、ほぼ100%の避妊効果が期待されます。
Q 低用量ピル(OC)をやめた後、妊娠に影響が出る?
OCを服用してたことで不妊になることはありません。また、OCを服用し続けているあいだOCの成分が体内に蓄積するということもありません。万が一、OCの服用を中止してすぐに妊娠した場合でも、赤ちゃんへの影響はないといわれています。OCの服用を中止してから3〜4ヶ月までに月経が回復します。
低用量ピル(OC)を飲んではいけない人
- 妊娠中、妊娠の可能性がある
- 授乳中
- 高血圧
- 満(BMI30以上)40歳以上
- 喫煙者(特に35歳以上、1日に15本以上喫煙する方)
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 心臓、腎臓、肝臓の病気がある
- 子宮がん、乳がんになったことがある などなど…
服用を考えている方は、医師に相談しましょう。
低用量ピル
のリスク
副作用(マイナートラブル)
OCの服用を始めてから吐き気、頭痛、だるさ、乳房の張り、不正出血などの不快感を感じることがあります。これは、OCによって体内のホルモンバランスが変わるためです。
2〜3ヶ月服用を継続することで体が慣れ、症状がおさまってきます。症状が軽減せずOCが合わないと感じた時は、自己中断せずに医師に相談しましょう。
性感染症
性感染症にはクラミジア感染症、HIV感染などありますが、OCにはそれを防ぐ効果はありません。性感染症の予防にはコンドームを併用すること、また定期的な検査を受けるようにしましょう。
血栓症
頻度は少ないものの生命にかかわる重大な副作用として血栓症を発現する可能性があります。
血栓症とは血管内に血液のかたまり(血栓)ができ、血液の流れが悪くなったことをいいます。
長時間同じ姿勢でいることや、水分が不足していると血栓症が起こりやすくなります。適度に身体を動かしたり、こまめに水分を摂って予防することが大切です。
※頭痛や下肢の痛み・腫れ・しびれなど血栓症を疑う症状がある場合は、早めに病院へ受診しましょう!!
低用量ピルは身体に悪い?
日本ではOCへのマイナスのイメージがあります。その原因として、副作用への誤った知識が挙げられます。
また、世界と比較するとOCの認可や普及率、性教育が遅いことも指摘されています。世界では、女性が主体的に避妊する意識が高く積極的にOCが使用されています。
避妊だけではなく、月経痛で学校や仕事に支障が出ることや、肌荒れやニキビなど『生活の質を向上させる』ためにもOCを使用する女性が多いです。OCは月経による悩みの症状が軽減できて、月経コントロールもできる女性のミカタです。